ABSセンサーのメンテナンス

タイヤ

センサーが汚れるとブレーキはどう変わる?

ABSセンサーはホイールの回転速度を読み取り、スリップを検知すると油圧を瞬時に制御します。ところがマグネットとピックアップリングの隙間は1mm前後しかなく、鉄粉や泥が付着すると信号が乱れて誤作動やABSランプの点灯を招きます。
警告灯が点いたまま走ると車検に通らないだけでなく、制動距離が伸びて転倒リスクが増大します。街乗りでもチェーンオイルの飛び散りや冬場の凍結防止剤が付着して悪影響を及ぼすため「林道や雨天を走らないから大丈夫」とは言い切れません。点検周期はメーカー指定が優先ですが、半年または1万km目安での点検が推奨されることが多いため参考にしてください。

点検前にチェックしたい三つのポイント

まずホイールを浮かせ、センサーケーブルに傷がないか目視で確認します。タイラップが切れているとタイヤと擦れて断線するため要交換です。
次にセンサーとピックアップリングの隙間をシックネスゲージで測定し、一般的な0.3〜1.0mm程度の範囲内にあるかを確認します。
外した途端に落ちてしまう薄いシムが挟まっている車種もあるので紛失に注意しましょう。
最後にリングの歯欠けをチェックします。1カ所でも欠損があると回転信号が周期的に途切れフェイルセーフに入るため、欠けが見つかった時点で交換が必要です。整備スタンドがない場合はディーラーへ持ち込むか、フロントフォーク下にスライダーをかませてタイヤを浮かせる簡易方法でも確認できます。

点灯テストで初期診断

イグニッションをONにしてランプが数秒後に消灯すれば自己診断OKです。消えない場合はセンサー断線、リング変形、あるいはホイール径変更によるキャリブレーションずれを疑います。ハンドルスイッチで自己診断モードに入れる車種もあるので、取扱説明書を確認しましょう。

清掃から再設定までの実践手順

①車体を安定させホイールを外します。センサー固定ボルトは小径の六角またはトルクスが多く、舐めやすいのでツールの接触面を確認してから緩めましょう。
②センサー部はマイクロファイバークロスとパーツクリーナーで軽く拭きます。強アルカリ洗剤や金属ブラシは磁石を傷めるため厳禁です。鉄粉が焼き付いている場合は綿棒に灯油を含ませて溶かすと塗装を傷めず除去できます。リング側は細めの真鍮ブラシで歯の溝をなぞり、最後にブレーキクリーナーで脱脂します。
③組み付け前にセンサーとリングのギャップを再測定します。不安なら0.05mm厚のシムワッシャーで調整し、サービスマニュアル既定値内へ収めます。固定トルクはボルト径M6で9N·m前後が一般的ですが、必ず車種指定値を遵守してください。
④ホイールを戻してアクスルを仮締めし、フロントを2〜3回ストロークさせてフォーク平行を出してから本締めします。このひと手間でキャリパーとディスクの当たりが均一になり、パルス信号が安定します。
⑤再始動して車両を数メートル転がすだけで自己学習が完了しランプは自然消灯します(速度条件は車種により異なります)。消えない場合はサービスマニュアル記載のカプラー短絡診断でエラーコードを読み取り、断線や電圧低下など電気的トラブルを切り分けましょう。

仕上げにできるワンポイント

ケーブルの露出部にシリコンスプレーを軽く吹いておくと、泥はねが付きにくくクラック防止にもつながります。オフロード走行後は高圧洗浄の水を直接当てず、シャワー状にして泥を浮かせる程度にとどめるとセンサー内部への浸水を防げます。ABSは最後の砦ですから、ちょっとした気配りで信頼性を長く保ちましょう。

ABSセンサーのメンテナンスは特殊工具が少なく、慣れれば1時間以内で完了します。ブレーキ性能と安全マージンを維持するため、定期的な清掃と点検を習慣にしてください。