冬季保管前の防錆チェックポイント

防錆

防錆剤は素材に合ったタイプを選ぶ

冬の乾燥と湿気の繰り返しは、バイクの金属部分にとって錆の原因になりやすい季節です。特に寒暖差の大きい場所では、結露が起こりやすく、知らないうちに腐食が進んでしまうこともあります。そうしたリスクを減らすためにも、防錆剤を使って早めに保護しておくことが大切です。

防錆剤にはさまざまな種類がありますが、素材に合ったタイプを選ぶことが基本です。金属全般に使いやすいのはシリコン系のスプレーで、無溶剤タイプであればゴムやプラスチック類にも使えます。ただし、ブレーキ周辺には使用を避け、塗布の際はウエスにスプレーしてから薄く塗るようにしてください。

水がたまりやすいフロントフォークの根元やステー部分、ミラーの付け根などは錆が発生しやすい箇所です。こうした部分は重点的にケアしておきましょう。また、ゴムや樹脂製のパーツには、専用のコンディショナーを使うと乾燥によるひび割れを防げます。パーツごとに防錆剤を使い分けることで、外観をきれいに保ちつつ、機能面の劣化も防げます。

錆びやすい部品は重点的に保護する

防錆対策は、どのパーツがどのように錆びやすいかを理解したうえで、部位ごとに適切な方法で行いましょう。例えば燃料タンクの内側は、空気との接触による錆を防ぐために保管時には満タンにしておくのが基本です。加えて、防錆添加剤を燃料に混ぜておくと、タンク内部を保護できます。

タンクの外装部分は、ワックスをかけておくことで表面の塗装や金属を守ることができます。特にカバーの内側で湿気がこもりやすい場合は、こうしたコーティング処理が錆を防いでくれるでしょう。

エンジン内部の錆対策としては、保管前にエンジンオイルを新しいものに交換しておきます。古いオイルに含まれる水分や不純物が、内部の金属部品に悪影響を及ぼすためです。チェーンや可動部にも潤滑剤をあらかじめ塗っておくことで、動きが悪くなったり、サビが発生するのを防げます。

バッテリーは取り外して室内で保管するのが理想的ですが、それが難しい場合はマイナス端子を外しておき、トリクル充電器を使って定期的に補充電を行うと良いでしょう。タイヤは長期間同じ位置で荷重がかかると変形するため、スタンドで浮かせるか、時折位置を変えるようにしてください。加えて、空気圧を通常よりもやや高めに設定しておくのも変形防止に有効です。

湿気を防げる保管環境をつくる

保管環境が悪いと、防錆対策をしていても効果が下がります。理想は、温度と湿度の変化が少なく、風通しの良い屋内です。冬場は床からの湿気が上がりやすいため、コンクリートに直接置かず、ゴムマットや木板を敷いて下からの湿気を防ぎましょう。

屋外で保管するなら、バイクカバーは必須です。防水性だけでなく通気性にも配慮されたタイプを選びましょう。裾は完全に密閉せず、少し隙間を空けて湿気がこもらないようにします。また、地面からの跳ね上げを防ぐため、裾まわりはしっかり覆ってください。

保管中も月に一度はカバーを外して状態をチェックし、必要があれば潤滑剤を再塗布したり、バッテリーの様子を確認したりすることが大切です。確認しておけば、春になってからの再始動トラブルを避けられます。